

義歯を新製してから6か月以内に修理を行った場合、所定点数が自動的に半額(50/100)になることを知らずに満額算定すると、返戻・減点の原因になります。
有床義歯の保険点数は、大きく「総義歯」と「局部床義歯」に分かれます。
局部床義歯は、欠損歯数によってさらに「少数歯欠損(1〜8歯)」と「多数歯欠損(9〜14歯)」に区分されます。つまり区分が3種類あるということです。
各区分ごとに、印象採得・咬合採得・仮床試適・装着と、それぞれ別途算定できる項目が設けられています。印象採得料を例に挙げると、単純印象(簡単なもの)は40点、連合印象になると225点と大きく異なります。 複数の採得料を組み合わせた際の合計点数を誤って計算するケースは、現場でも少なくありません。
関連)http://saitoh.sakura.ne.jp/Guide/guide-63.html
令和6年6月改定では、総義歯の基本点数が引き上げられるとともに、歯科用金属芯を埋入した場合の「有床義歯補強加算150点」が新設されました。 2026年現在においても改定の影響が残る重要な変更点のため、古い早見表のまま運用しているクリニックは要確認です。
関連)https://www.tokyo-sk.com/wp/wp-content/uploads/2026/03/1a0177212f9a617120322cdb2af8a3a0.pdf
また、3次元プリント技術で製作した有床義歯(いわゆる3Dプリント義歯)については、総義歯の点数を準用して算定します。 ただし、上下顎で同日に装着した場合に限り算定できるという条件があり、片顎のみでの算定は認められていません。
関連)https://www.shaho.co.jp/wp-content/uploads/2025/12/100078_071203.pdf
「9歯以上かどうか」が判定の分岐点です。
有床義歯の修理には、製作した義歯の装着日からの期間で点数が変動する制限があります。
自院で新製した義歯の装着から6か月以内に行った義歯修理は、所定点数の50/100で算定します。 これは一般的に「6月制限」と呼ばれるルールです。厳しいところですね。
関連)http://osk-hok.org/hokenishinbun/pdf/190415_1328/190415_1328_04.pdf
少数歯欠損(1〜8歯)の修理点数を例に挙げると、通常250点のところ、6か月以内であれば125点になります。 患者さんが「作ってもらったばかりなのに壊れた」と言って来院するケースでは、このルールが適用される可能性が高いため、製作日・装着日の確認が不可欠です。
関連)http://saitoh.sakura.ne.jp/Guide/guide-63.html
床裏装も同様に、義歯新製6か月以内は所定点数の50/100で算定します。 修理と床裏装の両方に6月制限が適用されるのです。
関連)http://osk-hok.org/hokenishinbun/pdf/190415_1328/190415_1328_04.pdf
なお、修理・床裏装の際に人工歯を使用した場合は、それぞれ人工歯料を別途算定できます。 人工歯料の算定漏れはレセプトの減点理由として頻繁に指摘されるため、チェックリストに加えておきましょう。
関連)http://saitoh.sakura.ne.jp/Guide/guide-63.html
| 区分 | 通常時 | 6か月以内 |
|---|---|---|
| 修理(少数歯欠損) | 250点 | 125点(50/100) |
| 修理(多数歯欠損) | 高点数 | 50/100に減算 |
| 床裏装 | 所定点数 | 50/100に減算 |
装着日の確認が最重要です。
新製有床義歯管理料(義管)は、新たに製作した有床義歯を装着し、患者や家族等にその調整・取り扱いなどを説明した場合に算定します。 ただし、単なる説明だけでは不十分です。
関連)https://www.shien.co.jp/media/sample/s1/BK00137/pageindices/index6.html
義管を算定するには「有床義歯の適合性等について検査を行い、患者または家族等に義歯の取り扱い・保存・清掃方法などを文書で提供した場合」という要件があります。 提供した文書の写しをカルテに添付する必要があり、文書の提供なしには算定できません。
関連)https://www.shien.co.jp/media/sample/s1/BK00137/pageindices/index6.html
装着した日の属する月に1回のみ算定でき、算定した月は「歯科口腔リハビリテーション料1(有床義歯の場合)」は算定できません。 これが同月算定不可の制限です。
関連)https://3tei.jp/news/NoxYkQOw
義管は「困難な場合(230点)」と「それ以外の場合(通常点数)」に区分されています。困難な場合の算定には、総義歯または9歯以上の局部床義歯を新たに装着した場合という要件があります。 歯数が9歯未満であれば、どれほど難易度が高くても「困難」には該当しません。
関連)http://www.hhk.jp/hyogo-hokeni-shinbun/backnumber/2020/0715/100001.php
さらに重要な制限があります。義管は同一初診内において、1年未満は算定できません。 義管を算定した後に新たに義歯を製作した場合は、義管ではなく「歯科口腔リハビリテーション料1(歯リハ1)」で算定することになります。ただし、新たに初診を算定した場合は義管を算定できます。
関連)https://www.showa-d-dousou.jp/infomation/wp-content/uploads/2021/04/v25.pdf
新製有床義歯管理料の算定要件と文書提供義務について(保険の有床義歯 臨床&請求 虎の巻)
この記事には義管の算定フローと電話再診時の注意点(電話再診では義管は算定不可)が詳細に解説されています。
令和6年(2024年)6月の診療報酬改定では、有床義歯に関して複数の重要な変更が行われました。
最も注目すべきは、総義歯の基本点数の引き上げです。 さらに前述の「有床義歯補強加算150点」も新設されており、実務上の算定額が変わるため、改定前の知識のままで運用を続けることはリスクになります。これは使えそうです。
関連)https://www.tokyo-sk.com/wp/wp-content/uploads/2026/03/1a0177212f9a617120322cdb2af8a3a0.pdf
咬合採得のルールも強化されました。多数歯欠損や有床義歯の試適時には、義歯の辺縁形態や咬合関係の確認が必要とされており、適切な記録と合わせた算定が求められています。 試適料・咬合採得料の算定漏れや、算定要件を満たしていない算定はともに問題になります。
関連)https://dt-lp.emium.co.jp/journal/medical_fee_revision
なお、顎堤形成後の有床義歯においては、咀嚼機能の回復が困難なケースへの対応として、1床につき55点が加算される規定もあります。 こうした加算は見落とされやすいため、算定チェックシートの活用が有効です。
関連)https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001251542.pdf
改定情報は毎年厚生労働省から発出されますが、歯科に特化した情報は保険医協会や専門出版社の資料でキャッチアップするのが効率的です。
厚労省公式資料。総義歯・有床義歯に関する点数変更の全体像を確認できます。
有床義歯の点数算定は、見落としが多い分野のひとつです。
最もよくある誤りは「装着日を基点にした期間管理の漏れ」です。6か月制限は修理・床裏装の両方に適用されるため、患者ごとに義歯の装着日を電子カルテや管理表に明記して運用することが基本です。
関連)http://osk-hok.org/hokenishinbun/pdf/190415_1328/190415_1328_04.pdf
次に多いのが、義管と歯リハ1の算定競合です。同月に両方算定するとほぼ確実に返戻になります。 月をまたいだ際の算定履歴の確認を習慣にすることで防げます。
関連)https://3tei.jp/news/NoxYkQOw
義歯修理の際、磁石構造体(マグネット義歯の部品)の再装着が必要になったケースでは、その個数分だけ有床義歯修理(M029)を算定します。 つまり磁石が2個あれば「有床義歯修理×2」で算定します。これが基本です。
関連)https://www.vidro.gr.jp/wp-content/uploads/2024/05/20240426_shika.pdf
現場での算定精度を上げるうえでは、以下のチェックリストが有効です。
6か月制限を含む算定期限のある項目が一覧表形式でまとめられています。スタッフ教育の参考資料としても活用できます。