

フロスを「ただ通すだけ」で指導している患者さんは、歯垢除去率がC字操作の患者と比べて約30%低下します。
関連)https://www.greendental.tokyo/dentalblog/1068/
デンタルフロスは大きく「ロールタイプ(巻き取り式)」と「ホルダータイプ(糸ようじ)」の2種類に分かれます。 ロールタイプは1回あたり約40cm(指先から肘までの長さが目安)をカットして使用し、指への操作感が高く、歯肉縁下への到達性にも優れています。 ホルダータイプはF字型やY字型があり、特にY字型は奥歯の歯間への挿入角度が確保しやすいため、不器用な患者さんや初心者の自己管理に向いています。
糸の素材にも種類があります。ナイロン製は強度が高く耐久性に優れ、PTFEフロスは滑りが良くコンタクトが強めの歯間でも通しやすい特性を持ちます。ワックスなしのアンワックスタイプは糸が広がりやすく、プラーク除去面積が増えるというメリットがある一方、引っかかりやすい側面もあります。これは使えそうですね。
歯科医従事者として患者に勧める際は、まず「歯間の隙間が狭い方・若年層・前歯部」にはロールタイプやPTFEフロスが適し、「歯周病で歯肉退縮が見られる方・ブリッジ下・インプラント周囲」には歯間ブラシとの併用が原則です。 フロス1本での対応には限界があります。
関連)https://tsuda-dc.jp/blog/effective-floss-usage-guide/
| 種類 | 特徴 | 向いている患者層 |
|---|---|---|
| ロールタイプ(ワックスあり) | 滑りが良い・切れにくい | コンタクト強め・初中級者 |
| ロールタイプ(アンワックス) | 糸が広がり汚れを巻き取りやすい | 中〜上級者・前歯部 |
| PTFEフロス | 極めて滑らか・ほつれにくい | 詰め物・クラウン周辺 |
| ホルダー F字型 | 前歯操作しやすい | 子ども・介護補助者 |
| ホルダー Y字型 | 奥歯への角度が取りやすい | 不器用な方・高齢患者 |
この「1〜2cm」というのがポイントです。多く残しすぎると指の制御が効かず、歯肉を傷める原因になります。手のひらを床と平行に向けると下顎の奥歯に、逆手(手のひらを上向き)にすると上顎奥歯に届きやすくなります。 奥歯の操作が苦手な患者さんへの指導では、この「逆手テクニック」を伝えるだけで継続率が大きく変わります。
関連)https://www.youtube.com/watch?v=y45_DNBX0FQ
フロスを歯間に通しただけで終わる操作では、歯垢除去効果は半減します。つまり「通す」ではなく「巻き付ける」が正解です。歯と歯の間にのこぎり動作でゆっくり挿入したら、一方の歯面にフロスをC字型に巻き付け、歯肉縁下1〜2mmまで入れます。
C字型に巻き付けた状態で、上下方向に2〜3回スクレービングします。歯の形状は丸みを帯びているため、平らなままでは側面の汚れが残ります。 片側が終わったら、今度は隣接する歯面へC字の方向を反転させ、同じ動作を繰り返します。1カ所につき「2面分」の操作が必要です。
関連)https://tsuda-dc.jp/blog/effective-floss-usage-guide/
「フロスで血が出た=歯肉を傷つけた」と思い込んで中断してしまう患者さんは少なくありません。しかし使い始め2週間以内の出血の多くは、炎症を起こした歯肉からの出血です。 歯肉炎があれば、フロスを正しく使い続けることで炎症が軽減し、1〜2週間で出血が止まるケースが大半です。これは歯科医院での定番の指導です。
関連)https://tsuda-dc.jp/blog/effective-floss-usage-guide/
ただし、出血が続く場合の注意点があります。2週間を超えて毎回出血する、あるいは大量出血が続く場合は歯周病の進行や全身疾患(血液疾患、抗凝固剤の服用など)が背景にある可能性を除外する必要があります。厳しいところですね。
歯科クリニックでの指導ツールとして、ライオン歯科材の「プロスペック フロス」などプロ向け製品のサンプル配布と合わせて実習形式で練習させると、1カ月後の継続率が向上するという報告もあります。
参考:フロス使用時の出血と歯肉炎の関係について詳しく解説しているページです。
フロスは「毎食後」ではなく「1日1回・夜寝る前」が推奨です。 就寝中は唾液分泌が低下し口腔内細菌が最も繁殖しやすい時間帯のため、就寝前にプラークを除去することに最大の意義があります。患者に「毎食後やらなきゃ」と思わせると心理的ハードルが上がり、逆に習慣が定着しません。夜1回だけで十分です。
関連)https://www.aobahiro-dc.com/column/2025/5038/
ここで歯科医従事者だからこそ伝えたい独自視点があります。フロスの順番です。多くの患者は「歯磨き→フロス」の順で行いますが、フロスを先に行う「フロス・ファースト」は汚れを歯間から除去してからフッ化物配合歯磨剤を接触させることができ、歯磨き後の方がフッ素の歯間浸透率が高まるという考え方があります。患者個別の習慣形成において「続けられる順番」を最優先にしつつ、意欲的な患者にはこのアドバンスな知識を追加するのが効果的です。意外ですね。
継続率を高める患者指導のポイントは次の3つです。
患者が使うフロス選定に迷った場合は、「GC ルシェロ フロッサー」(ホルダータイプ)や「ライオン クリニカ アドバンテージ デンタルフロス」などの市販品がコスパ・継続性のバランスが良く、患者への推奨に使いやすいです。
参考:歯磨きとフロスの順番や使用タイミングに関する詳しい情報はこちら。