

「歯をB1にしても、患者によってはかえってクレームになる場合があります。」
歯科の現場で「歯の白さ」を客観的に伝えるために欠かせない道具が、VITAシェードガイドです。 ドイツのVITA社が開発したこのツールは、歯の色を4つの系統に分類し、それぞれを明るさ順に並べた色見本集です。 A系統(赤茶系)・B系統(赤黄系)・C系統(灰色系)・D系統(赤灰色系)の4種があり、各系統に1〜4の数字を組み合わせて全16色が構成されています。
関連)http://blog.livedoor.jp/tooth_whitening/whitening/shade_guide.html
数字が小さいほど明るい色、大きくなるほど濃くなると覚えておけばOKです。
最も広く使われる「VITAクラシカル」は16段階ですが、ホワイトニング専用のW1・W2・W3を加えた19段階バージョンも存在します。 W1はB1よりもさらに明るい「ブリーチシェード」で、芸能人やモデルが好む極白の基準として知られています。 歯科従事者として患者に正確な説明をするなら、16段階か19段階かを確認してから話を進めることが原則です。
関連)https://ozasa-dc.com/column/274/
参考:VITAクラシカルシェードガイドの16段階を明度順に並べた詳細はこちら。
シェードガイド(歯の色見本)とホワイトニングのシェード変化 — ホワイトニング歯医者
VITAクラシカルの16シェードを明度の高い順に並べると、以下のようになります。
関連)https://shirokane-smile.com/whitening/3300
| 順位 | シェード | 系統・特徴 |
|---|---|---|
| 1位(最白) | B1 | 赤黄系・最も明るい自然色 |
| 2位 | A1 | 赤茶系・「誰もが白いと感じる」基準 |
| 3位 | B2 | 赤黄系 |
| 4位 | D2 | 赤灰系 |
| 5位 | A2 | 赤茶系・「自然な明るさ」基準 |
| 6〜8位 | C1・C2・D4 | グレー系・ダーク系 |
| 9位 | A3 | 赤茶系・日本人平均 |
| 10〜12位 | D3・B3・A3.5 | 日本人平均〜やや暗め |
| 13〜16位 | B4・C3・A4・C4 | 最も暗い自然色の範囲 |
この表で見ると、日本人の平均であるA3〜A3.5は全体の9〜12番目という位置づけです。 意外と暗めですね。
関連)https://shirokane-smile.com/blog/3041
患者に「平均的な日本人の歯は16段階中ほぼ真ん中より下」と伝えると、ホワイトニングへの動機づけが高まります。これは使えそうです。
参考:日本人のシェード平均と各段階の詳細解説はこちら。
歯の色は静的な指標ではありません。加齢とともに象牙質が厚みを増し、エナメル質の透明度が下がるため、シェードの値は自然と高く(暗く)なっていきます。 具体的には若年ほどA2以下の明るい値を示しやすく、40〜50代になるとA3.5〜A4に移行する傾向があります。
関連)https://www.shien.co.jp/media/sample/s1/BK07994/pageindices/index1.html
加齢だけではありません。コーヒー・紅茶・タバコなどの嗜好品が日常的にある患者は、S18以降のシェード値からホワイトニングをスタートするケースが多いとされています。 20〜40代の受診者が全体の約9割を占めるというデータもあります。
関連)http://www5.famille.ne.jp/~ekimae/sub2-70.html
生活習慣の聴取がシェード評価の前提条件です。
C系統(灰色系)の歯は特に注意が必要です。 グレー系の歯はホワイトニング薬剤の浸透が阻害されやすく、A系統と同じ回数では目標シェードに届かないことがあります。 患者のシェード系統を確認せずに「〇回で結果が出ます」と断言するのは、C系統の患者に対してはリスクがある説明です。
関連)https://www.yamagataya-sika.jp/white/05.html
参考:ホワイトニング効果と歯の色の種類の関係はこちら。
シェードガイドの数値を目標設定に活かす際には、一度に大きく変化させようとしないことが大前提です。 1回の施術でA3からA1への変化を狙うと、オーバーブリーチ(過度な脱色)が起こり不自然な青白さになるリスクがあります。
関連)https://nagoya-hohoemi.com/blog/3909/
推奨される変化量は1回あたり2〜4段階です。 例えばA3からスタートした場合、第1回でA2〜C1相当、うまくいけばB2レベルまで到達できます。 複数回施術で最終的にA1を目指すのが、クレームが少なく満足度の高いゴールとされています。
関連)https://nagoya-hohoemi.com/blog/3909/
A1以上(W1・W2・W3)の領域は別扱いと考えてください。
目標値の記録には必ずシェード番号と日付を残すことが条件です。
参考:オフィスホワイトニングでの目標シェード設定と施術回数の目安はこちら。
シェードガイドはホワイトニングの事前・事後測定だけに使う道具ではありません。補綴物(クラウン・ベニア・インレー)の色調決定にも同様に用いられます。 特に前歯部の補綴は、隣接歯との色差が0.5段階でも患者が「違和感がある」と感じることがあり、精度の高いシェードテイキングが審美クレームを防ぐ最重要ステップです。
関連)https://www.itoseshika-shinbi.com/white-teeth/
見落とされやすいのが「照明条件」の問題です。
歯の色は照明の種類によって大きく見え方が変わります。自然光(北向きの窓の光)が最も正確な判定ができるとされており、歯科用チェアの照明だけで測定すると誤差が出やすいとされています。 時間帯・天気・診療室の照明の色温度を統一した測定環境を作ることが、再現性の高いシェード記録につながります。
関連)https://www.shien.co.jp/media/sample/s1/BK07994/pageindices/index1.html
また、近年では目視によるシェードガイドを補完するために、分光測色計(シェードスキャナー)を導入する歯科医院も増えています。機器測定では「L\*a\*b\*」などの数値で色を客観的に記録でき、患者へのビフォーアフター説明がより説得力を持ちます。こうした機器の導入を検討する際は、まず既存のシェードガイドとの数値対応表を確認することから始めると、スムーズに導入できます。
数値記録の習慣化が、将来の医院評価を守ります。
参考:シェードガイドの科学的背景と臨床での活用方法はこちら。