

副神経を「温存した」はずでも、術直後の7割以上に僧帽筋麻痺が起きています。
関連)https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282680199231744
特に注意すべきは、副神経を「温存」した保存的頸部郭清術においても、術中の鉤による牽引操作や電気メスの熱刺激によって一過性の神経障害が発生することです。
関連)https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282680199231744
| 状態 | 術後2ヶ月以内の上肢外転角度 | 予後 |
|---|---|---|
| 副神経温存・重度麻痺 | 100度未満(約4割) | 6ヶ月前後で150度以上に改善 |
| 副神経温存・中等度麻痺 | 100〜150度未満(約3割) | 適切なリハビリで改善 |
| 副神経温存・軽微な麻痺 | 150度以上(約3割) | リハビリ継続で問題なし |
| 副神経切除例 | 大幅に制限 | 代償筋の強化が目標 |
重要なのはこの点です。副神経を温存した症例でも、適切なリハビリを行わなければ、肩周囲の複数関節に癒着性関節包炎が発症し、運動障害や慢性疼痛が残存します。 「副神経を残したから安心」というのが、実は危険な思い込みということですね。
関連)https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1411101631
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282680199231744
🔑 正しい開始姿勢のポイント。
また、術後早期にROM角度が良好になっても安心は禁物です。術創の瘢痕化によって、術後2〜3ヶ月にかけてROMが悪化するケースがあります。 退院後も自主リハビリを継続させることが条件です。
関連)https://mhlw-grants.niph.go.jp/system/files/2011/113041/201118053A/201118053A0023.pdf
参考:頸部郭清術後の副神経障害とリハビリテーション(J-STAGE)
副神経の温存・切除によって、リハビリテーションの目標とアプローチが根本的に異なります。 ここを混同したまま指導してしまうと、患者への誤った期待形成につながります。
関連)https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1411201377
🟢 副神経温存例のリハビリ目標:
🔴 副神経切除例のリハビリ目標:
歯科医・口腔外科では舌癌や口腔癌の術後に頸部郭清術が行われるケースが多く、術後フォローの中でこの区別を把握しておくことが患者支援の質を高めます。
関連)http://www5.famille.ne.jp/~ekimae/sub7-345-56.html
参考:当院における頸部郭清術後のリハビリテーション(J-STAGE)
頸部郭清術後のリハビリは、肩関節機能だけの問題ではありません。口腔癌・舌癌・咽頭癌などでは、頸部郭清術と同時に口腔・咽頭の切除が行われることが多く、術後の摂食・嚥下機能の低下が深刻な合併症につながります。 jichi-ir.repo.nii.ac(https://jichi-ir.repo.nii.ac.jp/record/826/files/%E8%87%AA%E6%B2%BB%E5%8C%BB%E7%A7%91%E5%A4%A7%E5%AD%A6%E7%B4%80%E8%A6%811881-252X(27)p183-197.pdf)
歯科医従事者が特に把握すべき連携ポイントは以下のとおりです。
🦷 術前からの口腔介入:
🦷 術後の嚥下リハビリ連携:
頸部郭清術後には首の「硬さ・痛み・しびれ・締め付け感」が後遺症として残るケースも多く、これが口を大きく開けにくくする「開口障害」の一因となります。口腔外科・一般歯科でのフォローアップ時に、肩こりや首の違和感を患者が訴えている場合は、リハビリ状況の確認を促すとよいでしょう。
関連)https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282680200611072
参考:口腔・中咽頭癌術後における言語聴覚士が関わる咀嚼・嚥下のリハビリテーション(J-STAGE)
あまり知られていないのが、頸部郭清術のリハビリ負担は「術式・郭清範囲」によって大きく変わるという事実です。
関連)https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282680200611072
厚生労働省の研究班(4施設共同研究)の調査では、以下が明らかになりました。
ここが重要な点です。 郭清範囲ⅡB領域の縮小がリハビリ負担軽減に直結するという報告もあり、術式の選択がその後の機能予後を左右します。
関連)https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1411102927
歯科従事者の立場では、術式を選択することはできません。しかし、担当した患者がどの術式で手術を受けたかを把握し、その術式に応じたリハビリ情報を提供することが、患者のQOL向上につながります。
たとえば、退院後に「肩が上がらない」「首が張る」と訴える患者に対して、原因が副神経障害(肩関節リハビリ領域)なのか、頸神経叢障害(感覚障害・しびれ領域)なのかを区別して耳鼻咽喉科・リハビリ科への紹介判断を促せるか否かで、患者の回復速度が変わってきます。
https://cir.nii.ac.jp/crid/1390282680200611072
参考:がんのリハビリテーションガイドライン(日本リハビリテーション医学会)
https://www.jarm.or.jp/wp-content/uploads/file/member/member_publication_isbn9784307750356.pdf