構音障害の原因を子どもの歯科的視点から理解し対応するポイント

構音障害の原因を子どもの歯科的視点から理解し対応するポイント

子どもの構音障害は言語の問題だけでなく、歯並びや口腔機能の発達不全が深く関係しています。歯科従事者として見逃せない原因や早期介入のポイントとは?

構音障害の原因を子どもの歯科的視点から理解し対応する

口腔機能に問題がなくても、構音障害は起こります。


📋 この記事の3つのポイント
🦷
歯科的要因が構音障害の原因になる

歯並びの乱れ・舌小帯短縮症・開咬などの口腔内の状態が、子どもの発音に直接影響します。

介入は就学前(4〜5歳)が鍵

構音障害の多くは就学前の早期発見・訓練開始が予後を左右します。歯科受診のタイミングで気づけることがあります。

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多職種連携が不可欠

歯科医・言語聴覚士・耳鼻科が連携することで、子どもの構音障害に対して包括的なサポートが可能になります。


構音障害とは何か:子どもの発音発達と3つの分類

日本語の子音は、6〜7歳ごろにほぼ完成するといわれています。 それより前の時期に特定の音が出せない、あるいは誤った音で代替してしまう状態が、構音障害として問題になってきます。


関連)https://me.shopdb.jp/jibika120/session/?recid=3422


子どもの構音障害は、大きく3つに分類されます。


関連)https://www.noda-dental.com/staffblog/301/



  • 🔵 器質性構音障害口蓋裂舌小帯短縮症・歯の欠損など、構音器官の形態的異常が原因

  • 🟠 運動障害性構音障害(ディサースリア):脳性麻痺や脳血管障害など、神経・筋肉の異常が原因

  • 🟢 機能性構音障害:構音器官に明らかな異常がないにもかかわらず発音できない状態


歯科臨床で最も遭遇しやすいのは、器質性と機能性のどちらか、またはその両方が複合しているケースです。 つまり、器質的な問題が機能的な誤学習を引き起こすという流れが存在します。


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4〜5歳で多くの音が明瞭になってくるのが正常発達の目安です。 5〜6歳を過ぎても特定の音が直らない場合は、専門機関への受診を勧めるタイミングといえます。


関連)https://www.matsumura-family-dental.com/content/466/


構音障害の原因となる子どもの口腔内問題:歯科から見えるリスク

歯科医院では、構音障害の背景にある口腔形態の問題を早期に発見できる立場にあります。これは大きなメリットです。


口腔内で構音障害に関係する主な問題は以下の通りです。


関連)https://www.fukushima-sagisu-dental.com/post/%E6%A7%8B%E9%9F%B3%E3%81%AB%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8B%EF%BC%9F%E3%81%8A%E5%AD%90%E3%81%95%E3%81%BE%E3%81%AE%E7%99%BA%E9%9F%B3%E3%81%8C%E6%B0%97%E3%81%AB%E3%81%AA%E3%82%8B%E4%BF%9D%E8%AD%B7%E8%80%85%E3%81%95%E3%81%BE%E3%81%B8




























口腔内の状態 影響する構音
開咬(前歯が閉じない) サ行・タ行・ラ行の歪み
上顎前突(出っ歯) サ行・シャ行・前歯を使う摩擦音
舌小帯短縮症 ラ行・タ行・サ行全般
歯の欠損・位置異常 多様な子音全般
叢生・狭い歯列 舌の可動域制限で多音に影響


特に見落とされやすいのが、口呼吸低位舌の組み合わせです。 慢性的な鼻づまりやアデノイド肥大から口呼吸が定着すると、舌が低い位置に固定されやすくなり、それが構音発達に悪影響を及ぼします。


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不正咬合(歯並びの乱れ)は子どもの約6割に見られるとも報告されており、単に審美的な問題にとどまらないことが分かります。歯科診療の場は、構音障害の入口になりうるということですね。


関連)https://nagano-forest-dc.com/dental/755/


機能性構音障害の特徴:「誤学習」として子どもに何が起きているのか

機能性構音障害は、幼児期に構音を習得する過程で誤った学習(誤学習)が固定してしまった状態です。 原因は完全には解明されていませんが、口腔機能の未発達・聴覚的なフィードバックの問題・環境要因などが複合していると考えられています。


関連)https://stnavi.info/dysphagia/articulation-dysphagia/post-211/


代表的な誤り方として、「はさみ→はしゃみ」のような置換は就学前に自然治癒することが多いとされます。 一方、側音化構音(呼気が側方に漏れ、「き」が「ち」に近く聞こえる)や口蓋化構音は自然治癒しにくく、訓練が必要です。


関連)https://www.takenouchi-ent.com/child


自然治癒しやすいケースとそうでないケースを把握しておくことが基本です。以下の音は特に注意が必要です。



  • ⚠️ サ行・ツ行・ズ行・ラ行:獲得が遅い音で、誤りが長期化しやすい

  • ⚠️ 側音化構音・口蓋化構音:自然には治りにくく、専門的訓練が必要

  • パ行・バ行・マ行・タ行・ダ行など:比較的早期に習得され、自然改善の確率が高い


過去5年間の小学1年生の一斉言語検査では、歯間性構音障害が13〜24%に確認されたというデータもあります。 これは決して少ない数字ではありません。日常の歯科受診でも、発音のチェックを意識する価値があります。


関連)https://tokushi.miyakyo-u.ac.jp/pdf-konno-award/mue-tokushi-konnoshou2023_hayasaka.pdf


歯科従事者が注目すべき「口腔機能発達不全症」との関係

2018年から保険適用となった「口腔機能発達不全症」は、まだ全ての歯科関係者に浸透しているとはいえない概念です。これが構音障害と深く絡み合っています。


口腔機能発達不全症とは、食べる・飲み込む・話す・鼻で呼吸するといった機能の発達・発育が不十分な状態です。 統計的には3〜5割の子どもに何らかの問題がみられると報告されています。


関連)https://nagano-forest-dc.com/dental/755/


子どもの構音障害と口腔機能発達不全症の関係を整理すると、以下のようになります。


関連)https://sirius-yamanote-dc.jp/20230428-2527/



  • 🔷 0〜2歳での口腔育成が十分であれば、5歳での構音完成度が高くなる

  • 🔷 叢生・狭い歯列・開咬・指しゃぶり・低位舌があると、5歳で構音障害がみられやすい

  • 🔷 口腔機能が整っていれば、虫歯があっても構音への影響は比較的小さい


つまり「むし歯はないから安心」と思っても、口腔機能の問題が見過ごされている可能性があります。これは、現代の歯科における見落としやすい盲点といえます。


口腔機能発達不全症は早期発見・早期介入がカギです。小児歯科での定期健診の際に、発音・嚥下・口唇閉鎖・舌の動きを合わせて評価する習慣が、構音障害の予防につながります。


以下は、口腔機能発達不全症の詳細について解説された参考リンクです。


子どもの口腔機能発達不全症の概要・診断基準・保険適用について詳しく解説されています。


小児期の口腔機能発達不全症について(長野フォレスト歯科)


歯科従事者が実践できる構音障害への早期対応と多職種連携

歯科は構音障害の「診断」機関ではありませんが、「気づき」と「つなぎ」の役割を果たせます。早期連携が、その後の訓練効果を大きく左右します。


訓練の開始タイミングは重要です。一般的に言語発達年齢4歳程度以上から構音訓練が開始されます。 就学前に訓練を終えることが理想とされており、機能性構音障害の平均訓練回数は約17回という報告もあります。


関連)https://www.st-medica.com/2018/05/kinoukou-kunnrenn-kaisijiki.html


歯科で対応できる確認ポイントを以下にまとめます。


関連)https://www.one-shika.com/%E6%AD%AF%E4%B8%A6%E3%81%B3%E3%81%8C%E7%99%BA%E9%9F%B3%E3%81%AB%E5%BD%B1%E9%9F%BF%EF%BC%9F%E6%A7%8B%E9%9F%B3%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%AE%E5%8E%9F%E5%9B%A0%E3%81%A8%E6%AD%AF%E7%A7%91%E3%81%A7%E3%81%A7/



  • ✅ 舌小帯の長さ・可動域チェック(舌先が上顎に届くか)

  • ✅ 開咬・上顎前突・叢生などの不正咬合の有無

  • ✅ 口唇閉鎖力・口呼吸の習慣の有無

  • ✅ 低位舌・舌突出癖の有無(嚥下時に舌が前歯に当たるか)

  • アデノイド顔貌・慢性的な口呼吸の傾向


連携先としては、言語聴覚士(ST)が在籍する耳鼻咽喉科・リハビリ科・専門外来が中心です。 「か行・さ行の構音障害であれば2〜3か月で訓練終了できる場合も多い」と報告されており、早期に専門機関につなぐことで子どもへの負担も軽減できます。


関連)https://www.kenpakusha.co.jp/np/tsukushi/20220901006/


歯科から見た構音障害への対応フローを整理すると以下の通りです。



  1. 🦷 定期健診の際に口腔機能(舌・唇・咬合)を確認する

  2. 🔍 構音に影響しうる器質的問題(舌小帯・開咬等)を記録する

  3. 📣 保護者に発音の発達目安を説明し、気になる点があれば耳鼻科・ST受診を勧める

  4. 🤝 必要に応じて矯正歯科・耳鼻科・言語聴覚士と連携する

  5. 📝 口腔機能発達不全症として保険診療の対象になるか検討する


歯科と言語聴覚士の連携事例・具体的な訓練方法について詳しく解説されています。


歯並びが発音に影響?構音障害の原因と歯科でできるサポート(one-shika.com)


機能性構音障害の種類別特徴・訓練の適応・ST向け解説が充実しています。


機能性構音障害の特徴とリハビリ(STナビ)